皆さんは、大学が最近力を入れている「女子枠」というものをご存じですか?
女子枠とは、理工系学部を中心に導入された女性の入学枠です!
今回は、理系大学志望の女性に向けて、
「女子枠が導入された理由や入試方式、難易度、実施大学」についてご紹介します!
女子枠の背景
女子の志願者・合格者が少ない
「令和5年度学校基本調査」では、日本の大学学部の学科別入学者に占める女子学生の割合は
理学部で29.3%、工学部で17.3%しかありません!
大学学部全体では46.2%であるため、かなり低いことが分かります!
女子割合が少ない理由には、以下の2つが挙げられます!
- 理系選択の女子が少ない
- 教師や家族の意見
1つ目では、友人が文系を選択しているというだけで、ほとんどの女子学生が文系につられてしまうのです。
進学校では大丈夫なのですが、非進学校にこの傾向が見られます!
「このような状況下で楽しい学生生活が送れるのか?」
「自分が理系でついていけるのか?」など
不安が大きくなってしまうようです、、
2つ目では、「女子だから理系に行く必要はない」という固定観念を持った人がいるのです。
教師の中には、「女子は数学が苦手」「理工系では長時間研究が大変」
家族の中には、「女子が理系に進むと婚期が遅れる」
と、偏見で女子学生に理系を勧めない人がいます。
ひどいときは、「女子は大学に行かなくても良い」という意見も存在するほどです!
理系分野での活躍を期待
日本では、女性研究者の割合が少なく、学術界や産業界に対して危機感があります。
実際、2021年時点で、日本はOECD加盟国の中でも女性研究者の割合は最も低いです!
参照:理工系進学者の女性割合、日本は最下位 OECD調査 – 日本経済新聞
具体的には、自然科学(27%)と工学(16%)の2分野で最低でした、、
これらの数値は、先ほどの理学部と工学部の女子学生割合と類似してます!
また、女性研究者が多いメリットとして、多様性が研究の発展に繋がることが挙げられます。
男性のみのチームよりも、男女両方の発明者のいるチームの方が、特許の経済価値が高まるのです!
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ちなみに、日本では大学生だけでなく、教員の女子枠も設けています!
東大では、「東大に女子を増やそうプロジェクト」が始動されています!
入試方式と難易度
結論から言うと、
入試方式は、総合型または学校推薦型と同じ!
難易度は、これらの方式より倍率が低いため、高くないのではと考えられます!
以下に、いくつかの大学の女子枠の選抜方法や倍率などをご紹介します!
(基本的に、倍率は2024年入試時点、その他募集要項の項目は2025年入試時点のものとなってます!)
芝浦工業大学
対象学部・学科:すべて
入試区分:総合型
併願:不可
選抜方法:学校の評定(数学・理科)や自己推薦書+英語外部試験+学力試験(理科)
倍率:
【工学部】1.0~1.4倍(総合型全体平均1.1倍。9学科中7学科が1.0倍)
【システム工学部】:1.0~3.0倍(総合型全体平均1.3倍。6学科中4学科が1.0倍)
【デザイン工学部】1.0~1.9倍(総合型全体平均2.4倍。2学科)
【建築学部】2.5~7.0倍(総合型全体平均4.1倍。3学科)
芝浦工業大学 募集要項
東京理科大学
対象学部・学科:工学部・創域理工学部・先進工学部
入試区分:総合型
併願:不可
選抜方法:学校の評定(数学・理科)や志願者調査+小論文+面接+口頭試問
倍率:
【工学部】1.0~2.0倍(総合型全体平均1.4倍。5学科中3学科が1.0倍)
【創域理工学部】1.0~2.5倍(総合型全体平均1.7倍。6学科中4学科が1.0倍)
【先進工学部】1.0~2.0倍(総合型全体平均1.8倍。3学科中2学科が1.0倍)
東京理科大学 募集要項 p10
名古屋大学
対象学部・学科:工学部4学科
入試区分:学校推薦型
併願:不可
選抜方法:共通テストや自己推薦書+面接+口頭試問+スケッチ(環境土木・建築学科のみ)
倍率:1.2~1.7(学校推薦型全体平均2.5倍。工学部2学科)
名古屋大学 募集要項 p31
電気通信大学
対象学部・学科:情報理工学域Ⅰ類(デザイン思考・データサイエンスプログラムのみ)
入試区分:学校推薦型
併願:不可
選抜方法:学校の評定(全教科or数学・理科)や自己推薦書+面接+総合問題+
基礎学力検査(CBT)+非認知能力調査(CBT)
倍率:試験未実施のため、不明
電気通信大学 募集要項
東京工業大学(現・東京科学大学)
対象学部・学科:すべて
入試区分:総合型と学校推薦型
併願:可(「一般枠」と「女子枠」。物質理工学院と環境・社会理工学院のみ)
※総合型と学校推薦型の併願はできません
選抜方法:
【総合型】共通テストや志望理由書+面接+筆記(理学院と環境・社会理工学院のみ)+
造形課題(環境・社会理工学院)
【学校推薦型(生命理工学院のみ)】共通テストや自己推薦書+学修計画書
倍率:
【物質理工学院】6.4倍(総合型全体平均8.5倍)
【情報理工学院】2.2倍(総合型全体平均4.4倍)
【生命理工学院】3.2倍(総合型全体平均2.8倍)
【環境・社会理工学院】6.9倍(総合型全体平均6.9倍)
東京科学大学 総合型 募集要項
東京科学大学 学校推薦型 募集要項(生命理工学院)
東京科学大学は、「東京工業大学」と「東京医科歯科大学」が統合した大学です!
2026年度入試までは、統合する前の各々の大学で入試方式を取り入れるようです!
併願については、総合型あるいは学校推薦型扱いとなるため、
基本的に学内や他大学の併願はできないかと思います!
ただ、総合型(女子)であれば、大学によっては併願できるかもしれません!
募集要項の「出願資格・要件」をよく読んでみましょう!
「出願資格・要件」に、「入学を確約できる者」と記載があれば併願できない、
「第一志望とする者」という記載があれば併願できる可能性があります!
また、選抜方法については、「共通テストか評定か」「試験か面接か」というように、
大学によって組み合わせが違います!
そのため、行きたい大学で倍率が低かったとしても、選抜方法の組み合わせが自分にとって苦手な場合もあるので注意です!
一概に入りやすいとも言えない!
女子枠は、通常の総合型や学校推薦型と比べ、倍率が低いことが分かりました。
しかし、易しいかと言われると、答えはNOです!
そう考える理由は以下です!
- 過去問がない
- 定員割れでも合格者が出ないこともある
- 志願者がみな猛者たちかもしれない(数学オリンピックとか持ってるかもしれない!)
例えば、2つ目の理由を見てみましょう。
以下は、東京理科大学の2024年の女子枠の試験結果です。
東京理科大学 総合型(女子) 入試結果2024
これらの数値を見て、不思議に思いませんか?
例えば、「機能デザイン学科」において、募集人数3人に対して志願者数は2人だけなので、
「2人とも合格!」と思われがちです。
しかし、1人も合格者が出ていないのです!
これは、「理系人材となりうる女性だと判断した人しか入学させない!」という大学側の意志を感じます!
そのため、「楽に入学したい!」と考えている人は要注意です!
大学一覧
最後に、女子枠を実施している・する予定の大学をご紹介します!
すでに実施している大学
愛知工科大学 | 大同大学 | 山梨大学 |
大分大学 | 電気通信大学 | 金沢学院大学 |
大阪工業大学 | 東京工業大学 | 神奈川大学 |
神奈川工科大学 | 東京理科大学 | ものつくり大学 |
金沢大学 | 東北工業大学 | 玉川大学 |
北見工業大学 | 富山大学 | 東京都市大学 |
熊本大学 | 名古屋大学 | 名古屋工業大学 |
高知工科大学 | 新潟工科大学 | 愛知工業大学 |
山陽小野田市立山口東京理科大学 | 人間環境大学 | 広島工業大学 |
芝浦工業大学 | 兵庫県立大学 | 第一工科大学 |
島根大学 | 福井工業大学 | 琉球大学 |
※2024/11/13時点
これから実施予定の大学
室蘭工業大学 | 秋田大学 | 京都大学(2026年から) |
埼玉大学(2026年から) | 福島大学 | 福井大学 |
茨城大学 | 千葉大学 | 神戸大学 |
長崎大学 | 宮崎大学 | 広島大学(2026年から) |
大阪大学(2026年から) | 新潟大学 |
これからも徐々に増加
2025年度入試「女子枠」導入の国公立大学は30大学37学部で、募集人員は578名と約2.4倍に。
大学ジャーナルオンライン
このように、2024→2025で急激に増加しているため、より増加していくと考えられます!
「東京科学大学」
枠のない残りの2学部に女子枠を導入します!
「名古屋大学」
女子枠のある工学部の募集定員を増やし、その半数を女子枠にします!
また、すでに女子枠を設けている大学も、新しく学部に枠を導入したり、
既存の枠の定員を増やしています!
そのため、同大学の女子枠数も新規導入大学数も増えていくでしょう!
まとめ
いかがでしたか?
一見、「倍率が低い!」「女子枠が広がってきている!」という点から、
難易度が低く見られがちです。
しかし、「過去問がない」「合格者が出ないこともある」という点から、
しっかり対策しないと確実に落ちます!
そのため、まず女性の方へ
楽に合格したいから受ける!ということがないようにしてください!
仮に受かったとしても、入学後に絶対に後悔します!
また、男性の方へ
女性だけずるい!と妬まなくても大丈夫です!
女子枠はちゃんと難しいです!
とは言え、場合によっては女子学生が女子枠と一般枠を併願し、
「一般枠の倍率が上がる」こと
女子枠の導入のせいで、「一般枠の定員が狭まる」ことは、
大学側は何としても避けてほしいものです!